文 部 科 学 省 、 厚 生 労 働 省 、 農 林 水 産 省 、 経 済 産 業 省 及 び 国 土
交 通 省 所 管 の 政 府 開 発 援 助 に 関 す る 会 計 検 査 の 結 果 に つ い て
の報告書(要旨)
平
成
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検査の背景及び実施状況
1 参議院からの検査要請の内容 ( 1) 検査の対象
文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省 ( 2) 検査の内容
上記の5省所管の政府開発援助についての次の各事項 ① 技術協力の実施状況
② 技術協力に係る援助の効果 2 検査の実施状況
会計検査院は、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省(各 省 の 外 局 及 び 機 関 を 含 む 。 以 下 「 5省 」 と い う 。) 及 び 56団 体 ( 独 立 行 政 法 人 等 17( 独 立 行 政 法 人 10、 国 立 大 学 法 人 6、 事 業 団 1)、 学 校 法 人 6、 公 益 法 人 等 33( 公 益 法 人 30、 その 他の 団体 3))において会計実地検査を行った。また、5省所管の事業を実施してい るものではないが、参考情報を得るために外務省においても会計実地検査を行った。 検査の結果
1 ODA事業予算の取扱い、DAC報告との関係等
ODA事業予算に対応する決算額が把握できないものが見受けられた。
また、開発途上国以外の国等に係るものであるなどのためDAC報告(OECDの開 発援助委員会(DAC)が各加盟国のODAの実績を取りまとめて公表しているもので、 OD A実 績の 国際 比較等 に広く用いられている。)に含められていない経費をODA事 業予算から支出しているものやDAC報告に含めることが可能であるのに含められてい ないものが見受けられた。
2 技術協力の実施状況
( 2) 事業の実施について、国の機関において、不要不急の物品を購入したり、ODAと は直接関係のない業務にODA事業予算を使用したり、契約を分割して随意契約で契 約したりしているものや、独立行政法人の海外事務所における経理が会計規程にのっ とって行われていないものが見受けられた。
( 3) 5省所管の技術協力の多くは、委託、請負又は補助により独立行政法人等又は公益 法人等の団体が実施主体となって実施されていた。
ア 委託・請負の契約に当たっては、随意契約(競争性のないもの)の占める比率が 低下してきており、全般的には競争性の導入への取組が図られつつあった。
しかし、競争契約又は企画随契(企画競争を経ての随意契約)に移行するなどし て いて も応札 者・ 応募 者が 1者 のみ にと どまっているものが、19年度で競争契約で 約70%、企画随契で約61%存在した。
また、随意契約とする理由の妥当性に疑義があったり、随意契約により特定の相 手方に委託していながら事業費の相当部分が第三者に再委託されていたり、契約方 法を見直しているものの、その際に実質的に競争性を阻害するような条件を付して いたりするものが見受けられた。
イ 補助金については、補助金の交付要綱等であらかじめ特定の団体を補助金の交付 の相手方として特定しているものの占める比率は低下してきており、一部見直しが 図られつつあった。しかし、これらの中には、交付要綱で補助金の交付の相手方を 特定しているのに、実際には一部の事業について第三者に委託して実施されている ものが見受けられた。
( 4) 委託・補助等を受け事業を実施している公益法人等の団体の状況については、補助 対象経費の範囲が明確でなかったり、団体独自の事業がほとんどなく、団体の活動実 態からして、当該団体を補助金交付の相手方としていることに疑義があったりするも のが見受けられた。なお、調査した63公益法人等のうち、委託・補助等を行っている 省等の出身者が常勤役職員として再就職しているものは50団体となっていた。
団体における会計経理の状況については、補助事業に使用されない物品を購入した り、補助事業に関して十分な収入があって補助の必要がないのに補助対象とされてい たり、補助事業に要する経費を適切に算定していなかったり、その他委託費や補助金 の対象とされる人件費を明確に区分して算定していなかったりなどしているものが見 受けられた。また、不確定要素が大きい事業について確定契約としたため、実績とかい
離が生じているものが見受けられた。
さらに、委託を受けた個人において、委託費を別途に経理している事態が見受けら れた。
3 技術協力に係る援助の効果
( 1) 被援助国の需要の把握について、5省所管の技術協力は、JICAとは異なり、正 式な公文書での要請なしに事業を行うものであるが、中には、覚書その他特段の書面 等の交換なしに事業を実施しているものが見受けられた。
( 2) 事業の種別ごとの援助の効果 ア 留学生の受入事業等
国費留学生について、学位の取得率は大学院レベルでは留学生全体の平均を上回 っている。一方、開発途上国以外の先進国等の出身者も国費留学生等として採用さ れており、これらについて直接ODAとしての効果が認められるかについては疑義 がある。また、留学生が我が国に対してどのような認識や印象を抱いて帰国してい るかについては、統一的な調査・把握はされていなかった。さらに、個々の留学生 に対する支援等において、不法在留状態の者、国外滞在中の者等に留学生給与を支 給していたり、誤った留学生数に基づいて補助金を交付していたりしているものが 見受けられた。
職業能力開発総合大学校に受け入れている留学生については、卒業後職業訓練指 導員等となることが採用条件とされているのに、職業訓練指導員等となっていない 者も見受けられた。
イ 研修生の受入事業
研修生及び受入企業の選定が特定の企業グループに偏っているため、研修の効果 の及ぶ範囲が限定的となっているものが見受けられた。また、比較的少数ではある が、開発途上国以外の国の出身者も研修生として受け入れているものがあった。さ らに、一部ではあるが、研修期間中に途中帰国・失そうが発生していたり、研修終 了後の研修生の状況の把握が十分でなく、研修の効果が発現しているかどうかの確 認が十分でなかったりするものが見受けられた。
入事業と単純に比較することはできないものの、実習に移行した後の技能検定等の 受験率が低調にとどまっていたり、受入企業への巡回指導の際の確認対象を技能実 習生のみとして研修生を対象としていない場合があったりしていた。また、同制度 においては、他の研修事業に比べ途中帰国・失そうの発生率が高くなっていた。さ らに、同制度中の建設分野に係る補助については、補助対象は全体のごく一部に限 られており、助成を続ける意義、必要性等は低下してきているものと認められた。 ウ 専門家派遣事業
派遣する専門家の選定基準がないもの、派遣された専門家による報告書が作成さ れていないもの、派遣された専門家に対する評価を行っていないものなどが見受け られた。また、相手国側の事情による部分が大きいものの、事業が計画どおりに進 ちょくしていないものや、事業終了後に、指導対象とした事業の一部が自立的に発 展していないものが見受けられた。
エ 施設、資機材等の調達・供与等
相手国側に供与した資機材等について、相手国側の事情による部分が大きいもの の、供与後に十分利用されていなかったり、故障していたりなどしているものが見 受けられた。
オ 調査研究事業
実施に当たって、相手国側からの要請等でなく、各省等の独自の判断によってい るものが相対的に多くなっていた。調査研究に係る報告書は何らかの形で公開され ているものが多かったが、ホームページで報告書の全部又は一部が公開されている も のは 3割 未満 とな って おり、 ホー ムペ ージ 上で は報告書が存在することすら容易 には知ることができない状態のものも見受けられた。
個々の事業についてみると、作成した調査報告書や技術指針の記述・内容が十分 とは言えないものとなっていたり、事業の実施に当たって相手国側の協力が十分に 得られていなかったり、相手国側に技術移転が十分になされているかなどを十分に 検証できない状況となっていたり、システム等の開発内容の一部断念や作成後の公 開までに時間を要していたり、事業を適切かつ効率的に実施していなかったりする ものが見受けられた。
もののうち、相手国から我が国に正式な援助要請があったものは約27%、そのうち 正式な援助に結び付いたものは約21%となっていた。
( 3) 援助の効果についての評価の状況
各省は政策評価法に基づく評価の一環として、技術協力についても評価対象として いる場合が多い。なお、一部の省は、政策評価法に基づく評価以外の評価も実施して いた。また、独立行政法人等は、技術協力事業について、通則法に基づく外部評価を 受けるほか、独自の評価も実施しているものもあった。一方、委託・補助等を受けて 事業を実施する団体については、法令上、評価の実施は義務付けられておらず、評価 を実施していない場合が多いが、一部には評価を実施しているものがあった。
各省等が実施した個々の評価の内容をみると、評価指標としたアンケート調査の選 択肢の内容等を前年度と変えているのに、そのことを明確に表示していないため、誤 解を生じさせるおそれがあったり、特別会計により実施している技術協力事業につい て、当該特別会計の設置目的の面からの評価が分かりやすいものとなっていなかった りするものが見受けられた。
検査の結果に対する所見
5省に おいて は、 外務省等との連携を図りつつ、次のような点に留意することにより、 技術協力の適切な実施及び効果の確保に努める必要がある。
1 ODA事業予算の執行状況や予算のうちDAC報告に計上される部分を明確にするこ とにより、国会における予算・決算等の審議や国民による評価に資するものとする。ま た、DAC報告に含めることのできるものは遺漏なく報告し、我が国の国際貢献として 正当な評価が得られるようにする。
2 技術協力の実施に当たっては、
( 1) 引き続き府省庁間の連携、調整等に努め、それぞれの知見を活かしつつ、我が国全 体としての効率的な事業の実施に努める。また、その際には情報システム等を積極的 に活用するとともに、各省とJICAの間での委託により事業を実施する場合は、適 切な経理処理を行う。
わない。さらに、合理的な理由なく随意契約を行わない。 ( 3) 団体等に対する委託・補助等により事業を実施する場合、
ア 団体等に対する委託又は請負により事業を実施する場合も、透明性、公平性の向 上を図るなどのため、引き続き競争契約等の拡大に努め、合理的な理由なく随意契 約を行わないようにする。また、契約方法を見直すに当たって実質的に競争性を阻 害するような条件を付さないようにするなどし、複数の者から応札・応募が得られ、 競争の実が上がるように努める。
イ 団体等の行う事業に補助金を交付して事業を実施する場合についても、同種の事 業を実施できる団体等が他にないことが客観的に明らかである場合を除き、交付要 綱等で補助金交付の相手方をあらかじめ特定せず、公募等により広く希望者からの 申請を受け付けることにより、透明性、公平性の向上に努める。
( 4) 委託・補助等に当たっては、補助対象経費の範囲を明確にするとともに、団体の活 動内容を踏まえ適切な団体を交付の相手方とする。
委託・補助事業に使用する物品等の調達が適切に行われるようにする。また、十分 な収入があるなど助成の必要が乏しいものは補助対象から除外するなどする。委託・ 補助事業等の経理に当たっては、事業を実施する団体等において、不適切な経理処理 を行わないことはもちろん、人件費をはじめ事業に要した経費を明確に区分して把握 し、その根拠資料を整備しておくようにする。そして、各省等はそれらに基づき的確 な精算、額の確定を行い、経済的、効率的に事業を実施する。
また、各省等は、団体等から見積書を徴する場合、業務の実態を反映したものとな っているか、その内容を精査、確認する。さらに、不確定要素が大きい契約について は、精算条項を導入するなどする。
3 技術協力の効果が十分なものとなるよう、
( 1) 事業を実施するに当たっては、相手国側の需要を的確に把握して、できるかぎり文 書によって相互に確認する。また、需要の把握に当たっては、外務省、在外公館、J ICA等の有している知見や情報も活用する。さらに、特に相手国側に費用負担が生 じない場合等については、安易に要請が行われるおそれもあり得ることから、相手国 側からの要請があるからといって、需要の把握が形式的にならないよう注意する。 ( 2) 事業の種別ごとにみると、
かにするなどして国会の審議や国民の評価に資するようにするとともに、留学生が 我が国に対してどのような認識・印象を抱くに至っているかを把握してその結果を その後の施策に活用する。また、支援等を実施するに当たっては、留学生の在籍・ 在留状況を適切に把握した上で実行する。さらに、留学後特定分野に従事すること を目的として受け入れる留学生については、その従事割合の向上に一層努める。 イ 研修生の受入事業については、研修生や受入企業等が特定の企業グループ等に偏
らず、効果が広く及ぶようにする。また、引き続き途中帰国・失そうの防止に努め るとともに、研修終了後特定分野に従事することを目的として受け入れる研修生等 については、その進路の状況を把握して事業の効果を検証し、その結果をその後の 施策に活用する。
外国人研修・技能実習制度については、実習移行後の技能検定の受験を促進する など技能の修得状況の把握に努める。受入企業等に対して実施している巡回指導に ついては、その効率的な実施に努める。また、途中帰国・失そうの原因を分析して その防止に努める。さらに、事業が普及して助成の意義、必要性等が低下している 場合には、助成の在り方について見直す。
ウ 専門家派遣事業については、派遣する専門家の選定について選定基準を設けるな ど客観性の確保に努める。また、派遣された専門家による報告書の作成・提出を励 行するとともに、専門家に対する評価を行い、これをその後の事業の実施、専門家 の選定等に活用する。さらに、相手国側の需要や事業を取り巻く状況を十分把握し て事業の順調な進ちょくを図るとともに、専門家が帰国した後も指導した事業等が 自立的に発展していけるよう、相手国側の実情に応じた指導の実施に一層努める。 エ 資機材の供与については、相手国側の需要や事業を取り巻く状況を十分把握して、
供与した資機材が有効に利用されるよう、相手国側の実情に応じた事業の実施に一 層努める。
判断を行う。また、作成した報告書、システム等については速やかに公開して効果 の早期発現を図るとともに、容量の問題でホームページ上への全体の掲載が困難な 場合には、少なくともその件名、概要等の所在情報は掲載して国民の利便に資する ようにする。その他事業の実施に当たっては、十分な計画に基づき適切かつ効率的 な実施に努めるとともに、事業と関係のない支出を行うことなどのないようにする。
案件発掘・形成調査については、引き続き案件に具体化する割合の向上に努める。 ( 3) 援助の効果の評価については、JICAの知見等も参考にしつつ、積極的に評価を
実施する。前年度と評価の方法を変更していて以前の評価との連続性に欠ける場合等 はその旨を明確に説明するなど国民の誤解を生じるおそれのないようにする。また、 特別会計により技術協力事業を実施している場合など事業が相手国側に対する援助に 加え他の目的も併せ有する場合にはそちらの側面についても適切に評価を行う。